No.23 崇山通臂拳の使い手(2004/2/13)
拳法の使い手であると作中で明記されていながら、バトルシーンが登場しないという変わったキャラ。何故このような端役のためにワザワザpageを作るのか、と疑問に思われる向きも多かろうが、まあ、最後まで読んでください。
覇を目指す拳王ラオウに捕えられ、妻子の命と引き換えに崇山通臂拳の奥義書をラオウに渡すが、結局妻子と別れ別れに獄に繋がれ、獄死する。この男はどう見ても悪人とは思えない。単にラオウの野望のために拉致監禁されたように見える。ラオウ曰く「子を放つことはこのおれに対する恨みを放つことになる。どんな小さな禍根も断つ。それがおれの生き方だ!!」
ところで、よく知られたことだが、物語の進行と共に、ラオウの人物像は変化していく。のちのリュウガ編では、民衆虐殺等の悪事は、主にラオウの下級家来によって成されている、という設定に変化。更にラオウ死後は「誰よりも愛深き男」とまで呼ばれている。そこでは、民衆虐殺の影も形も無い。
まとめると、崇山通臂拳の男の存在意義は2つあると思うのだ。1つは、ラオウ自らが虐殺行為に手を下していたことの証として。もう1つは、長さたった30cm程度の巻物に収まる崇山通臂拳とはどのような拳法か、という魅力ある謎の源として。