No.72 ボルゲ(2004/10/07)
「北斗の拳」のラストを飾るボスキャラ。かつて若き日のケンシロウの命を狙うが、返り討ちで目を潰される。以後、ケンシロウへの恨みを抱き、七つの傷を持つ男を捜して殺戮を繰り返す。この事実を知った青年バットは、記憶喪失になったケンシロウの身代わりになるために自ら胸に七つの傷を付けてボルゲに挑むが、全く相手にならずに捕らえられ、執拗なリンチを受ける。このボルゲによるバット陵辱は、「北斗の拳」屈指の印象深いシーンだと思う。そこへ現れた本物のケンシロウ(ただし記憶喪失中)との対決でもボルゲは優勢に戦いを進めるが、バットの叫びによって完全に記憶を取り戻したケンシロウに完敗。最後はバットの剣によって死亡した。
最強を争うようなキャラではないが、非常に強烈なルックスと性格を持つので、最終ボスとしては合格点だと思う。しかも、結構強い。作中の描写から、強さは(通常ケンシロウ)>>>>(ボルゲ)≧(記憶喪失ケンシロウ)であることは間違いなかろう。凡百の悪党が記憶喪失ケンにすら歯が立たないであろうことを思えば、大したものである。個人的には、ちょっとユーモラスな言葉遣いと残忍さのギャップに萌え、である。ケンシロウに凹られる際の悲鳴「ぼげぶげぺぷちゃべ」も愛おしい。
ただし、ひとつ残念なことは、ケンシロウとの初顔合わせが回想シーンであること。もしも連載初期にボルゲ出現の伏線が描かれていたとしたら、ボルゲはラスボスとして更に強烈な存在になっていたであろう。まあ、“後付け”だらけの連載最末期にそれを要求するのは酷ではあるが…
ところで、若き日のケンシロウが悪党ボルゲを殺さずに目を潰さなかったのは何故か、という疑問を持つ方が居るかもしれない。もちろん、「回想シーンで死んでしまったら話にならないから」がある意味では正解なのだが、それでは身も蓋もないので、次のような仮説を立ててみた。ボルゲは自らが世の中に君臨するために、圧倒的な強者ケンシロウを殺そうと試みただけであり、民衆虐殺などのケンシロウが嫌う行為をこの頃は行っていなかったのではないか。仮にそうなら、目を潰されたボルゲが後年には虐殺行為に走ったことを思うと、ケンシロウの判断は誤りだったことになる。殺さないのなら、秘孔で筋力を奪う方がむしろ適切だったかも知れない。以前にも書いたが、ケンシロウの人を見る目は余り信用できない。